
新着 中編
線香の匂いがする夜
こわがりナイト 12時間前
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まりの怖さに、私はナースステーションに逃げ帰りました。
けれど、看護師は静かにこう言ったのです。
「……分かったでしょう? あの匂いがする夜は、誰かが来るの」
今でも夜勤のたびに、私は無意識に空気の匂いを嗅いでしまいます。
幸い、あの香りを感じたのは一度きり。
でも、消灯後の静かな廊下を歩くと、時々ふっと――線香の煙のような、あの夜の気配を思い出すのです。
そして私はいつも思うのです。
もしかしたら、あの匂いは「死を告げる合図」なんかじゃなくて――
まだこの病院のどこかで、誰かが“見送っている”のかもしれません。
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