これは、私が小学生の時に体験した話です。 皆さんは『よだそう』という怖い話をご存知ですか? 『よだそう』とは子供の霊で、この話を聞いた人の夢に出てきます。話を聞いた人は夢の中でブランコに座っていて、その様子を誰かが遠くから見ています。最初はそんな夢で、次の日から同じような夢を見続けます。同じような夢なんですが、遠くから見ている人がだんだんと近づいてくるんです。4日目くらいにはその人は逆立ちしているのがわかってきます。5日目には男の子が逆立ちしていてなにかを言っているのがわかりました。6日目には目の前にいて「よだそう、よだそう」と言っています。同じ夢を見て一週間、この話を聞いた人は眠ったまま死んでしまう、この逆立ちしている男の子はいじめられていて、一緒に遊んでくれる子を探している。逆立ちなのは、この子が体育の授業で逆立ちしているときにいじめっこがふざけて手をつかんだら、そのまま首から落ちて首が折れて死んでしまったから。この『よだそう』から逃れるには、一週間目によだそうに『ある言葉』を言わなくてはいけない、言わなかったら魂を持ってかれる。という怖い話です。 どこにでもあるようなこんな怖い話が私の通っていた小学校で流行っていました。 私はその話を聞いて、「本当に来たらどうしよう、なんて話を聞かせてくれたんだ。」と話した友人を恨みました。 それからその日はずっとその話が頭から離れなくて、トイレに行くにも、お風呂に入るにも、ずっとびくびくしていました。 そしてとうとう寝る時間になって、私は寝るのが怖かった。当時の私は心霊系が本当に嫌いで、ものすごく怖がりだったのです。 寝ることができない私は、当時同じ部屋で寝ていた兄に、今朝学校で聞いた『よだそう』を話しました。 兄は当時中学生で、兄の学校でもこの『よだそう』は話されていたそうです。なので、兄は私が話すのを黙って聞き、聞き終わった兄は、「その話めちゃめちゃ有名じゃん、てか、よだそうに言う『ある言葉』知ってるし。」と言ってきました。 私は兄に泣きながらお願いし、その『ある言葉』を聞きました。 それは『うそだよ』という言葉でした。意味がわからなくなる私に、兄は説明してくれました。 「よだそう」は「逆立ちしている」つまり「逆から言う」というとても簡単な答えでした。 兄は「これは誰かが作った作り話で、『よだそう』なんて存在しない。だからも寝れ。」と言って、私を安心させてくれました。 この話が嘘だと知って、安心した私は、すぐに眠ることができました。 寝ていたのですが、なにか息苦しくて、私は目を覚ましました。時刻は夜中の3時、部屋は真っ暗です。 季節は秋だったのですが、とても暑く、汗もびちゃびちゃでした。のどが渇いた私は居間に行き、水を飲もうと思いました。 居間に続く廊下を歩いていると、居間になにかの気配がします。私の父は朝がとても早く、3時頃に起きて仕事をしているので、最初は「お父さんが起きてるのかな?」と思い、居間に入りました。すると、居間には誰もいませんでした。 怖くなった私は水も飲まずそのままUターンして部屋に帰ろうとしたのですが、後ろを向いた瞬間に誰かが私の後ろに立っている気配がしました。その瞬間、私は息ができなくなり、声を出すこともできなくなりました。足が震え、体も動きません。 すると後ろから「よだそう、よだそう」と聞こえてきました。その声を聴いた私は、恐怖で頭がくらくらして「よだそうって嘘じゃないのかよ…お兄ちゃんに嘘をつかれた…」と考えていました。よだそうから逃げるには『あの言葉』しかない、でも兄が言ったことはもう信じられない、でも言うしかない、言わないと殺されると思った私は、頑張って「う…そ…だ…よ…。」と声を出しました。すると「うそじゃないよ。」と返され、私の意識はなくなりました。 気がつくと朝で、私は布団で寝ていました。夢だったのか、夢にしてはすごくリアルで、鮮明に覚えていると感じた私は、居間に行き、両親に夢のことを話しました。 すると母親にいきなり塩をぶっかけられ、「怖い怖いと思っているから悪いものが寄ってくるんよ、もし怖い話を聞いても、怖くないと思っていればなにも起こらない。よだそうなんてただの作り話だよ、でもお前が怖いと思っていたから『なにか』が『よだそう』になったんだ。気持ちを強くもたなきゃだめだよ。」と言われました。 過剰に怖がったり、怯えていると、悪いものが寄ってくる。私は『よだそう』を怖がっていたから、『なにか』に付かれていたらしい。 そう教えられてからは、私は怖いと思っても深呼吸して、「怖くない!」と念じると、怖いと感じた気持ちが消えるようになりました。全てが怖くないわけじゃないですが、怖くないと思う気持ちが大切なんだと考えるようになりました。 怖...