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エレベーターの窓に映る階

こわがりナイト 10時間前
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私は地方都市Fに住んでいます。 ある日、会社から突然O支店への長期出張を命じられました。 期間は1ヶ月。人数合わせの応援という、よくある話です。 O支店は市の北部にある古い自社ビルでした。 1階は駐車場、2階が事務所。そこから上の3階~7階は賃貸マンションになっています。 会社の所有している空室がいくつかあり、私はその中のひとつ――5階の部屋をあてがわれました。 仕事場と寝床が同じ建物というのは便利なようで、妙に気が滅入ります。 夜になれば、同じ建物の中を「帰る」だけ。 どこかに切り替えができないのです。 その夜も、近くのスーパーに買い出しに出た帰りでした。 通りには誰もいません。季節外れの湿った風が吹き抜け、外階段の金属がギシ、と鳴りました。 マンション専用の小さな玄関を入ると、すぐに郵便ポストが並んでいて、数歩進むとエレベーターホール。 古い蛍光灯が白く唸っていました。 私は中に入り、「5」と刻まれたボタンを押します。 ドアが閉まり、鈍い音を立てて上昇が始まりました。 狭い窓からフロアが過ぎていくのが見えます。 2階、3階……暗い。 4階のところで、一瞬だけ人影が見えました。 スーツ姿の男が、ドアの前でじっと立っていたのです。 蛍光灯が切れているのか、そのフロアだけ真っ暗。 だからこそ、黒いシルエットがくっきり浮かび上がっていました。 男は右肩を少し落とし、右手をポケットに入れたまま動かない。 まるで影絵のように静止していました。 エレベーターはそのまま上昇を続け、明るい5階で止まりました。 私は降り、正面の502号室の前に立ちました。 鍵を探そうとして、ふと考えます。 今、通り過ぎた階。 暗いフロアを含めて三つ見た。 けれど、2階は会社の事務所で、エレベーターは止まらない構造のはず。 窓の外に見えたあの階――あれはいったいどこだったのか。 おかしい。 心の中でそうつぶやきながら、鍵を取り出そうとした瞬間、 背筋が冷たくなりました。 ――さっきの影の姿勢。 右肩を落とし、右手をポケットに入れたまま立ち尽くす、その姿。 今の私とまったく同じ格好でした。 ぞわりと鳥肌が立ち、動けなくなりました。 エレベーターの方から、何かの「視線」を感じます。 確かに、さっき降りたばかり。 中には誰もいないはず。 けれど、ドアの向こうで、誰かがこちらを見ている――そんな確信がありました。 私は振り

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