これはある中学校で毎年催されている林間学校で起きた話。 中学1年生を対象に毎年行われている林間学校。このイベントに3人の仲の良い男子が参加した。(もちろん他に参加している人もいたが)この3人をA君、B君、C君としておく。 彼らは2拍3日で行われる林間学校の初日のイベントを終えて男子が寝泊まりする視聴覚室に来ていた。 A「皆が寝たら例のやつやるぞ!」 B「オッケー」 C「バレたらヤバイよな。」 彼らは世に言う肝試しというやつをやろうとしていた。ルートは今いる3階の視聴覚室から2階、1階と降りて靴箱まで行って戻って来るといったものだった。そして教員も寝た時間を見計らい、3人は視聴覚室を出た。 A「ドキドキするなぁ。」 B「けっこう雰囲気出るな。」 C「早く行こうぜ。」 ビクビクしながらも3人は1階まで降りてきた。結局彼らが期待するようなことは起きず、靴箱まで行って引き返すだけとなった。 A「何か思ってたのとちがくね?」 B「幽霊何ていないかー。」 C「早く靴箱行って戻ろうぜ。」 3人は靴箱に来た。その時であった、彼らの足が急に動かなくなったのである。 A「な、何だぁ!」 B「動けねぇ!」 C「金縛りってやつか?」 そんなことを言って5分程経過しただろうか。3人は何やら視線のようなものを感じた。 A「何か見られてるよな。」 B「先生かなぁ。」 C「お、おい!あれみろ!」 C君の目線の先には坊主頭の男の子がいた。それも一人二人ではない。かなり多くの人数が確認出来た。中にはおかっぱ頭の女の子もいた。その小学生のような風貌の子供たちは皆靴箱に登り、鼻から上だけを覗かせ3人を凝視している。 A「怖ぇぇぇ」 B「幻覚だよな?」 C「皆何か黒いな。日本人なのに。」 子供たちは肌を真っ黒にしていた。それは日に焼けたと言うよりかは、焦げに近いものがあった。するとその時ウゥーとサイレンのような音が聞こえてきた。 A「なんだっ!」 その音が鳴るやいなや子供たちは3人の元に集まり出したのだ。 B「うわっ、来たぞ!」 集まった子供たちは3人の服をつかみ口々に、逃げろ、逃げろと言い出した。 C「助けてくれー!」 C君が叫ぶと同時に子供たちは消えて先生が来た。3人は動けるようになっていた。 翌日、昨日抜け出した罰を受けて掃除をさせられている3人はあのときの出来事について話していた。 A「やっぱりあれは心霊現象ってやつだよな?」 B「あの子供たちは何だったんだろうな。」 C「あの子たち何か焦げ臭かったよな?」 A「言われてみれば何かそんな感じしたな。」 B「見た目もずいぶん古い感じだったよな。」 C「とにかくこれは俺らの秘密にしようぜ。」 A「誰かに言っても信じてもらえなさそうだしな。」 そして今日も全てのイベントを終えて視聴覚室で睡眠を取るだけとなった。 A「俺、やっぱり気になるから今日も行こうと思う。」 B「またあれ起こったら怖いぜー。」 C「怒られたくないしな。」 二人はあまり乗り気ではなかったため、A君一人で行くことになった。昨日と同じで靴箱までは何も起こらなかった。しかし、靴箱に着くと昨日と同じ現象が起きた。 A「またか!」 逃げろ、逃げろと言われると今まで動かなかった体が急に動くようになった。 A「動けた!」 視聴覚室に戻ろうかと思ったがA君は彼らの波にのまれ、そのまま子供たちと行動することになった。 A「どこに向かってるんだ?」 聞いても反応がなく、子供たちは無表情のまま走っている。こちらの声は聞こえていないようだ。廊下を走っていると見覚えの無い場所に差し掛かった。 A「こんなところ無かったよな?」 どんどん進むとそこには地下に通じる階段があった。もちろん今のこの中学校にこんな階段はない。彼らに手招きされ恐る恐るA君も地下へと入った。階段を降りると少し広い部屋に出た。 A「何だここ⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅⋅」 焦げ臭いにおいに耐えているとヒュゥゥゥと何かが落ちる音が聞こえてきた。そのとたん彼らはパニックになったかのように慌てふためき口々にこう言った。 「爆弾、死ぬ、暑い」 A「何言ってんだこいつら!」 子供たちが騒いでいるとその瞬間、目の前が物凄い明かりと共に炎に包まれた。 A「うわぁぁぁぁぁ!」 気が付くとA君は先生数人に囲まれていた。 昨日の出来事を先生に話すと先生は校長室に案内した。そこで校長先生に不思議な出来事を話すと1冊の資料を取り、あるページを見せた。 そこにはかつてこの学校は戦争に巻き込まれて焼かれたという情報が載っていた。資料によると昔は中学校ではなく小学校だったらしい。そしてそこの防空壕に運悪く爆弾が当たり、生徒たちが死んでしまったそうだ。 校長「君が見たのはその時の犠牲になった生徒さんたちかも知れないね。」 A君はまじまじと資料...