
新着 短編
記録を残しておく
澪 2日前
chat_bubble 0
31 views
今日は記録を残しておく。最近、私の周りで妙なことが続いている。最初はただの偶然だと思っていたが、どうやらそうではないようだ。たぶん、心の奥深くで何かが叫んでいるのかもしれない。
ここ数週間、夜になると必ずと言っていいほど、部屋の廊下からかすかな音が聞こえてくる。最初はただの風の音だと思った。しかし、音は続く。何かが、私の部屋の外で動いている。念のため、廊下の明かりをつけてみると、何もない。ただの静けさが広がる。恐怖を感じつつ、これが私の気のせいであることを願った。
それから数日後、弟が心霊映像の仕事で帰ってきた。彼は私にその映像を見せた。映像の中では、薄暗い古いアパートで不気味な影が映り込んでいた。その瞬間、私は思った。これが何か私に関わっているのか。私の体験とリンクしているのか。弟にそのことを話すと、彼は笑った。「そんなの気のせいだよ」と。たぶん、そう思うのが普通だろう。
私は思考を巡らせる。恐怖体験の認知構造を研究している私だからこそ、これは単なる心理的なものであるはずだ。だが、弟の言葉には何か違和感がある。彼の映像には、確かに何かが映り込んでいたのだ。私が感じたあの音、そして今も続く不安。これらは一体何なのだろうか。やっぱり、気のせいなのか。それとも、私の中に潜む恐れが形を持ち始めたのか。
夜が深まるにつれて、音はますますはっきりと聞こえるようになった。壁の向こう側から、誰かが私を呼んでいるような気がする。思い出すと少し寒気がする。私は思わず、耳を澄ませた。だが、静けさが支配するだけだった。ひょっとしたら、私がこの部屋にいること自体が、何かを引き寄せているのかもしれない。いや、そんなことはないと自分に言い聞かせる。
とはいえ、今も夜になると、あの音が気になって仕方がない。たぶん、いつかはこの不安とも向き合わなければならないだろう。私の心のどこかで、何かが待っているかのような気がして。……それが何だったのか、今もわからない。
この怖い話はどうでしたか?
chat_bubble コメント(0件)
コメントはまだありません。