以前勤めていた会社ビルでのことです。 私は個人宅にまわる営業の仕事してました。 会社は土日祝が休みですが、当時、担当のお客さんの都合で土曜日に仕事する事が月に1回くらいありました。 それでも1軒回るだけですので、前日の金曜日に仕事の準備して自宅に持ち帰り、自分の車で直接お客さんの所に行くようにしてました。 というのも、会社事務所は古いオフィスビルの賃貸で、土日祝は警備セキュリティがかかり、解除するためには、最上階の大家さんに連絡するか、居ないときは警備会社に連絡しなければならず、とても面倒くさいので、会社に入らなくてもいいようにしてました。 この話は、この土曜日に起きた不思議な話です。季節は確か9月か10月だったと思います。 前日の金曜日、会社の仲間で遅くまで飲んでいました。 次の日はお客さんの所に行くのですが、午後3時に行けば良かったので、気にせず終電まで飲んでました。 そして翌日、昼頃に起きて準備して、家を出ました。 昨日の飲み会のせいなのか、体調が悪く、ちょっと飲みすぎたなと反省してました。 もう少しでお客さんの所に着くというところで、納品する物を忘れたことに気がつきました。 自宅に置いてあるので取りに帰ればいいのですが、いまの場所からだと、会社の方が近い。 面倒くさいですが、会社のセキュリティを解除して取りに行くことにしました。 それでも、お客さんとの約束の時間に遅れてしまってはいけないので、先に連絡しておくことにしました。 私はお客さんに 「ちょっと、前のお客さんのところでトラブルになっちゃって...。すいません、1時間ぐらい遅れます!」 と、嘘の理由と時間を多めにサバ読みし、そして、お客さんは 「いつも休みに悪いね~。しかし休みにトラブルなんてついてないね(笑)!うちは、今日中なら大丈夫だよ。ゆっくりどうぞ(笑)」 と言ってくれました。 自分のミスなのでちょっと申し訳ない気持ちになりながら、会社に向かいます。 会社のビル前に着き、セキュリティ解除のために、インターフォンで大家さんに連絡します。 大家さんが出て、 「はいはい?どうしましたか?」 私は 「4階のものですが、忘れ物を取りに来ました」 大家さんは 「ああ、そう。今日はエレべ……ガッ!……な……ガガッ!…階段に……ガガッ!……開けますね。」 雑音が入り、途切れ途切れでよく聞き取れなかったのですが、セキュリティが遠隔解除され、入口の鍵が開きました。 「まあ、多分エレベーターか階段が使えないってことだろう…。確認しながら使えばいいや…。」 と思いながら、ビルに入りました。 まず、エレベーターの上のボタンを押し、動くか確認しました。エレベーターは1階に停まっていたので、すぐに扉が開きます。 「ああ、動くんだ。 階段が使えないってことかな.....」 と思いながら扉が空くのを見ていたら、中にモップだけ乗ってました。 モップにちょっと驚きましたが、多分大家さんはこの事を言いたかったのかな?と思い、乗り込みました。 エレベーターの扉が締まり、体調も悪かったせいか、私はボーッとしてました。 しばらくして、ふと気づくと、 「あれ?エレベーター動いてない?!」 と焦りましたが、 階数ボタンを見るとすべて消えてます。 「ああ、行き先ボタンを押し忘れたんだ...。そりゃ動かないよ...。」 と自分を納得させながら、行き先階のボタンを押そうと手を伸ばした。 すると、エレベーターが動き始めました。 「あれ?なんで?」 と思いながらも、会社事務所がある4階をすぐ押します。 ボタンが光り、エレベーターの進行を扉の上の階数を示す番号の光で確認します。 2階…… 3階…… あれ? 止まりました...。 誰かが外から押した? でも、入口のセキュリティがかかっていた事を考えると、私の他はいないはず...。大家さんか? と考えていると、扉が開きます。 3階は、電気がついておらず、非常階段の灯りだけです。ビルメンテナンスをやっている会社です。 エレベーターから降りずに、ちょっと顔を出して見回しても誰もいません。 「なんだ?なんで止まったんだ? 気味悪いな...。」 と思い、エレベーターの閉めるボタンを早めに連打して押し、扉が締まり、4階に動き始めます。 「よかった...。」 とホッと息をつき、無事に4階の会社事務所に着きました。 お客さんに納品する物を準備して、ちょっと余裕もあったので、他に仕事のやり忘れかないか確認しました。 会社にくると、余分な事までやってしまうもんですよね。 すると、 ゴゴゴゴッ!! と、下の階から一斉に椅子...